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12月30日
福田さんとは始めての山行。ちょっと緊張しつつ本庄で待ち合わせ。 こっちの緊張とは反対に、福田さんはすでにお酒の匂いがプンプン。 夜8:00美濃戸口に向け出発。かなり強烈な寒気が来ている事もあり、清里あたりで早くもチェーンを巻き、何とか美濃戸口へ。我慢していたビールを、やきとりつまみに乾杯し、明日に備え車中にて就寝。 12月31日 今日は美濃戸口から行者小屋までの荷揚げ。今までの山行は全て担いでの行動だったが、今回は行者小屋にベースのテントを張り、そこからの行動なので、とりあえず行者小屋までの意識があり、軽量化はまったく考えず出来るだけの酒、食料をザックに詰め込んだのが仇となり、4時間の行程もかなりきつく感じる。 昼過ぎに行者小屋に着くものの、寒気のニュースがテレビで流れていたこともあり、テントを張っている数は少なく、福田さん曰く、昔はテントを張る場所もなかったが、余りにも少ないとの事。テントを張り、2人とも酔っ払う前に明日の予定を赤岳主稜とし、宴会開始。飲み始めた時は、『ラジオで紅白聞いて正月越そうや!』と言っていたが、飲み始めたのが2時・・・到底紅白までもたず、早めのグロッキー・・・ 1月1日 前夜は早めの就寝だったが、−10℃を越す寒さの中、余り熟睡出来ず。朝テントから出てみると降雪もあり、天気も芳しくない・・・ 赤岳主稜を予定してはいたが、主稜へ取り付くのにはルンゼを詰めるか、ルンゼをトラバースしなくてはならず、降雪後という事もあり主稜は明日のお楽しみに。今日は中山尾根へと変更とした。中山尾根も事前に調べていた登りたいルートの1つだった。テントを出発し中山乗越から樹林帯へ。樹林帯の中は、まるで無風のような静寂で、冬山の美しさを感じさせてくれた。しかし、しばらく登るとやせたリッジになり、その先には岩壁が。ここでハーネスやらアイゼンなどの登攀具を装着し、福田さんの『大丈夫だよ!登れるよ!若者がトップやらないと!』の一声でトップにてスタート。1個目のランニングビレイをし・・・・・そのあとが・・・・・ ホールドもなく、バイルも利かず、早々に福田さんにトップチェンジ。福田さんトップで再スタート。福田さんも苦戦はするものの、『あれ?何で登れちゃうの?』を思ったら、そのあとは、スイスイ登り上にて確保。福田さんの合図でクライムオン。セカンドで、しかも福田さんのムーブを目の前で見ていたので、おもいきって、1回目トライ・・・2回目トライ・・・だが、全然乗越せない。だんだん、なぜ乗越せないのか、福田さんのムーブも頭から消え、その後は自分なりにトライしてみるものの、ホールドが決まらず・・・ そうこうしているうちに、手先は寒さで感覚がなくなり、腕は上がらなくなり、最後の方はただ壁に落ちないようにへばり付いている状態に。 福田さんの『おーい!上がってこれそうかぁ〜!』の問いに、『すいませ〜ん!ちょっと無理です!』の情けない返答。 平成20年元旦早々に自分の技術不足、体力不足、そして根性不足に挫折を味わう。 約30分の間、ロープにテンションを掛け続けて頂いた福田さんが懸垂下降で降りてきた“まつげ”は、完全に凍っているにもかかわらず、『今日は正月だから、テント戻って正月しようや!』のやさしい言葉に、再度情けなくなり、トボトボ下山。 まだ昼過ぎだったので、赤岳鉱泉により、アイスキャンディーをしばし見学後テントへ。そして宴会に・・・ 1月2日 昨夜も早めの宴会、就寝だったこともあり、6時起庄。 外はガスってはいるものの、降雪はなく、7時に主稜に向かい出発。しかし、取り付きが不安定なら文三郎道〜赤岳縦走の条件に。 文三郎道を小1時間登ったところで、主稜取り付きのチムニーが見え、トラバースもムンゼの上部斜面だったので、主稜アタックへ! 取り付き部に着き、福田さんの『トップやるか?』の問いに、迷いなく返答し、チョックストーンのあるチムニーへ。『その辺の岩に付いた雪払ってみな』の声に雪をかき分けるとピンが!・・・大概、ここでランニングビレーを取りたいと思ったところには、既にハーケンが打っているとの事。さすがです・・・ 取り付きのチムニーを、それこそ登攀スタイル無視に、がむしゃらにクリアーし、2日連続の取り付き部敗退を逃れ、正直一安心。ここからは、つるべで登攀し、雪面・チムニー状の岩場を無難に登攀。正午に赤岳山頂に。天気も徐々に回復へ。 文三郎道下山中、主稜に取り付いている別パーティーを写真に取り、よくあんなとこ登ったなぁ〜と、自分で自分を関心する。また、テントサイトに着く少し手前では、カモシカが自分の1m前でこっちを眺めており、カモシカくんはある程度人間慣れしてるかもしれないが、こっちは1mの至近距離だわ、角はあるわでビビリまくり!!! しかし、しっかり写真に収めテントへ。そして宴会へ・・・ 1月3日 今日は下山のみ。 年始早々1本ルートを完登した事で、気分良く下山・温泉へ。 追記 今回の山行は、取り付き部での惨めな敗退・挫折あり、また主稜完登の喜びもあり、トータル的にはすごく充実した山行となった。 もちろん登攀もそうであるが、テントの中で酒を交わしつつ、福田さんの八ヶ岳はもちろん、北アルプス、またマカルー、ナンガなどのヒマラヤでの話を聞いているだけでも、価値ある山行となった。福田さんの『ヒマラヤ一緒に行こうや』に対し、自信をもって、『ぜひ、行きましょう!!』と言える日が、1日でも早く来るように頑張りたい。 余談ではあるが、1点気が付いた点は、福田さんの『大丈夫!行けるよ!登れるよ!』は石橋さんの『上まであと10分ですよ!』と匹敵するぐらい、まったく根拠がなく、信用してはいけない言葉だということを。 |
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行者小屋の幕営地 |
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中山尾根へ取り付きまでの静寂とした樹林帯 |
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中山尾根、下部岩壁 |
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赤岳主稜取り付きへのルンゼトラバース |
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主稜、中間部にて中岳をバックに |
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主稜上部をリードする福田さん |
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登攀後の文三郎道下山時、 主稜登攀中の別パーティーをパチリ |
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下山時にはすっかり姿を表していた主稜取り付き部 |
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カモシカくん |
行者小屋より赤岳をバックに |
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雲の切れ間から現れた、夕日に染まる大同心 福田さんは『登れるよ、大丈夫だよ。』と言うが・・・ |
赤岳主稜完登祝いに福田さんから頂いた、 ちょっと怪しい?(^^)ロシア製のアイススクリュー |