「親不知海岸までの道をたどって」4日目
自 平成17年8月27日〜 至平成17年9月9日
たらっぺ山の会 石橋 (筆)

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8月30日 晴れのち雨
    槍ヶ岳山荘(7:15)→三俣蓮華山荘(15:00)
朝日の槍ヶ岳頂上

朝日の槍ヶ岳頂上



硫黄尾根

硫黄尾根



三俣から槍方面

三俣から槍方面



三俣蓮華岳頂上

三俣蓮華岳頂上



鷲羽岳と三俣山荘

鷲羽岳と三俣山荘
 
 5時に起床して槍の山頂へ行く。ルートはガラガラ。昨日は夕方まで登山道が渋滞していた。早く来て正解だ。
 山頂へ上がると初日の出を撮ろうとする人が10人ほどいた。360度遮るものがなく雲海の上にいる。何故かこれから進むべき方角を目にすると僕たちが歩いていく様子が映し出されているようだ。槍ヶ岳。遠方から望んでも穂が出ているだけで登りたいと考えたことはなかった。でも中高年が一番登りたい山として掲げている理由がなんとなくわかった。それと山頂から千天の出会いまで延々と続く北鎌尾根。10分ほど荘厳な時間を過ごし、槍を後にした。

 西鎌尾根を双六へ向かう。西鎌からの北鎌は天空にそびえるリッジがやけに登攀意欲を掻き立ててくれる。いつか登れれば。

 途中赤い荒々しい岩稜が見えてきた。少し煙がでている。硫黄尾根である。硫黄尾根は井上さんが単独で冬季に突破して槍から東鎌尾根に抜けたことを思い出す。よくもこんな悪そうなとこ歩いたもんだと改めて感心する。

 4時間で双六小屋に着く。すっきりと小奇麗で混雑してなくまわりの風景も今までの小屋とちがい心安らぐ小屋という印象。小屋の周りはいたる所メローな斜面が広がっている。滑り手にとっては楽園だ。自分自身のシュプールを斜面に描いてしまう。寺沢さんがいれば「いいなあ〜」を連発するはずだ。

 昼は牛丼を食べた。それがとてつもなくおいしかった。かつ700円で安くボリュームもある。小屋の人が暇そうにしていたので今夏の山の状況など聞く。天気が安定せず例年より来山者は少なかったようだ。すっきりと晴れず夕日などは良くなかったこと。ただ最近はリタイア組が平日にも入ってくるので混雑度が若干改善されていると話してくれた。また最近の若い人は夜になって雨が降って来ると山小屋に入ってくるなどやわになったと話してくれた。山小屋の従業員にしてはすごく穏やかで懐の深さを感じることができた。小屋番はツンとしている人が多いので。個人的には人が多いところは嫌いだ。今までの上高地から槍のように小屋は人であふれていて、せっかくの山に来たという気がしない。一人で山にはいると何故か寂しさは消える。都会の真只中で人ごみに囲まれると余計に寂しくなってくる。
 
 荒々しい岩肌の登山道も消え三俣蓮華を越えると本日の天場の三俣山荘が見えてきた。15時に着いたのでテントを張り装備の整理をする。近くに水場の水流があったので全身を清めることにする。うまれたままの状態でシャツを洗っていると5人のワンゲルらしきグループが通っていった。中に女の子が一人いたが下を向いたまま行ってくれた。気温に比べて水温は低く思わず声が出そうになった。きれいになったかどうかは別にして気分はすっきりだ。テントに入り飯にする。
 
 今日は余裕があったので相棒と反省と明日のことなどについて話をした。ひとつ気になるのはお互い汗くさいのは確かなのだが相棒の靴下のにおいだけは相当に臭う。綿の靴下で湿っているのが原因か、ただ単に臭うのか定かではないが。

 8時就寝。そのころから雨が降り出す。

奥穂高山荘→槍ヶ岳山荘<<==>>三俣山荘→烏帽子小屋