「親不知海岸までの道をたどって」 12日目
自 平成17年8月27日〜 至平成17年9月9日
たらっぺ山の会 石橋 (筆)

プロローグ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 エピローグ

9月7日 暴風雨
   白馬山荘停滞

 風の音で目が覚める。実はよく眠れなかった。2重の窓をたたく音、小屋全体がきしむ音で不安があったのだ。相棒も同じだったとのこと。従業員が半分くらい入ったドラム缶が突風で飛ばされたと話していた。なにはともあれ小屋に泊まったことは正解である。

 風・雨は強し。10時にもう一泊することを決める。小屋の読書コーナーで本を読み耽る。

 昔の山渓の記録を読むと昔は凄まじく偉大な記録がある。自分たちの力のないことを痛感した。あと山道具屋も今の数倍はあったのではないか。今は山を登るというシンプルな行為を多様化して楽しむ人がいる。道具は一番大切な機能性よりかファッション性がものをいうらしい。

 白馬山荘の廊下を歩くと自分の廊下をきしませる足音だけが聞こえるので不気味だった。午後になると雨は止んだが風はまだ残る。15時過ぎに外に出ると、山頂が見えたので行ってみる。風は強弱あるがなんとか歩ける。丁度、山頂から井上さんから電話が入った。台風を心配してくれたようだ。井上さんとは5月に主稜を上がり、山頂は暴風でやっと大雪渓の入り口にたどり着いた記憶がある。小屋まではよろけながら戻る。危ない危ない。

 小屋で過ごした2日間は荷物の整理、心の整理となんとなく僕たちの足取りを落ち着かせてくれたようだ。布団に入り日本海を想像する。

五竜山荘→白馬山荘<<==>>白馬山荘→栂海山荘


2005日本海縦走「親不知海岸までの道をたどって」白馬山荘停滞日本海縦走「親不知海岸までの道をたどって」